ネットワーク管理者の憂鬱な日常

とある組織でネットワーク管理に携わる管理者の憂鬱な日常を書いてみたりするブログ

「“光”。ひろがる。ひびきあう。」らしい。

とある事情で某西日本キャリアの「フレッツ・光プレミアム」を導入。
ちなみに諸般の事情で、申込みから工事日まで1ヶ月程度。
ほんとはもっと早いのだろうけど、まあいろいろあり。

工事当日、近くを見回してみると、直近の分配点(AOクロージャ)からスパイラル
ハンガーでドロップケーブルが近くの電柱まで架空配線され、ケーブルリールのまま
置かれていた。にしても、コーン2つで養生って・・・(笑)。


リールに巻かれているケーブルには「ヒカリ NTT 1SM-IF <R15> FURUKAWA 2007」と表記。
そのままだけど、古河電工製なのね。

フレッツ光は1心なのに見た目2心ケーブルっぽいのでおかしいなぁと思っていたら、
1本はSMの心線だけど、もう片方は支持ワイヤ。なるほど(笑)。

そして、バケット車1台と3名の工事担当者が到着。
先のケーブルリールからドロップケーブルを引き出しながら屋外キャビネット取付場所
の外壁まで配線。当然バケット車大活躍。

そして、外壁に屋外キャビネット(成端キャビネット)がビス留めされる。
# 真ん中の細長いヤツが屋外キャビネット。
ちなみに左側のUFOみたいなヤツはCATVの保安器。


屋外キャビネットを開けてみるとこんな感じ。
# 本当はNTT側の設備なのでこんなことしたらダメよ(笑)。

ここで、架空配線されてきたドロップケーブルと、屋内から引き出されたインドア
ケーブル(黄色のヤツ)を接合。

一昔前はメカニカルスプライスだったと思うんだけど、最近は現場組立光コネクタ
でコネクタ付けて、コネクタ接続されちゃうのね(苦笑)。
ちなみに今回使用されていたのは、フジクラ製のFAコネクタ。
ドロップケーブル側にソケット「C」「F」をつけて、インドアケーブル側にプラグ「F」
をつけ、そのままコネクタ接続。
とにかく、融着なんて悠長なことはせず、現場での手間は大幅に簡略化されている。
もう、コネクタ部品内部でメカニカルスプライスされちゃうのね。

そして、屋内側に引き出されたインドアケーブル。


で、これが屋内に設置されるONU(Optical Network Unit)。つまり光回線終端装置。
ONUで光信号から電気信号(Ethernet)に変換される。

今回設置されたのは富士通アクセス株式会社製のGE-PON-ONU。
というか、GE-PON(Gigabit Ethernet-Passive Optical Network)方式なのでIEEE 802.3ah準拠。

ちなみにONUにはMACアドレスが振られている。
収容局内設置のOLT(Optical Line Terminal)は、このMACアドレスかEthernetフレーム
の前に付けられるプリアンブル内のLLID(Logical Link ID)で認証かけてるのだろうか。

GE-PONは収容局内のIDM(Integrated Distribution Module)内の光スプリッタで
信号が4分岐され、配線点のAOクロージャ内でも光スプリッタで8分岐される。
なので、実は最大32加入者でのshared mediaと捉えることができるのだが、各加入者の
ONUを識別しているのがLLIDだそうな。

で、GE-PON-ONUを開けてみるとこんな感じ。
# 本当はNTT側の設備なのでこんなことしたらダメよ(笑)。

インドアケーブルにも現地組立型SCコネクタを取り付けてONUと接続。
ちなみにここで使われてるのは、住友電工の現地組立型SCコネクタ「e-SC」っぽい。

ここから先はふつーのツイストペアケーブルなお話。
ONUからCAT5EなツイストペアケーブルでCTU(Customer Network Terminating Unit:
加入者網終端装置)へ接続。

ちなみにこれは住友電工製の「100M(S)」。
早い話、ブロードバンドルータらしい。

で、ONUのEtherポートと、こやつのWAN側(画像上では左側)のEtherポートを接続。
LAN側の4ポートはただのスイッチ。


で、今回、ひかり電話も申し込んだのでVoIPアダプタも付いてきた。
これも住友電工製の「AD-101SE」。


これは単純にCTUのLAN側ポートと、VoIPアダプタのEtherポートを繋げばおわり。
電話機へは6極2心の電話線で接続すれば問題なし。


で、今回設置された機器類。右からGE-PON-ONU、CTU、VoIPアダプタ。
んー、機器だらけ(苦笑)。


ここまでで物理的な接続作業は終了。
引き込み用のCD管(22φ)を事前に準備していたこともあり、作業開始から20分で完了。
工事担当の3名な方は再びバケット車に乗り込み、次の現場へと去っていった(笑)。

この間に接続確認の担当者が1人到着。キット化されたバッグを開くとWindows PCが登場。
専用ソフトでIP接続とVoIP接続を手際よく確認し、これまた次の現場へと去っていった(笑)。
結局、工事開始から確認終了まできっちり30分で完了。もう手慣れたモノ。

で、確認担当者が引き上げる前に、一応、今回収容されたAO(Aerial Optical)クロージャの
場所を聞いておき、彼らの撤収後AOクロージャを現認。

ちなみに、このAOクロージャ内で光スプリッタにより8分岐されている。
今回は、このAOクロージャが加入者収容のための分配点となる。
AOクロージャから局側へは「き線点」まで電柱上を架空配線される。

で、架空光ケーブルを辿っていくと、ある電柱から地下管路へ潜っているポイントがある。
これが「き線点」。


き線点では、こんな感じで地下管路へ入線されてる。
ちなみに、このき線点では、電柱左側は光ケーブル、右側からは固定電話用の
メタルケーブルが立ち上がっていた。


き線点からは地下管路や洞道(とう道)を経由して収容局まで辿り着く。
き線点や地下管路は主要道路沿いに作られており、道路上にあるNTTや旧電電公社の
マークが入ったマンホールがその目印となる。

さて、インターネットアクセスは何も問題だろうと思っていたが、ひかり電話は
正直どうだろうと思っていた。しかし(当然ながら)何の違和感もなく利用できる。
個人的に音声品質は「固定電話相当」と感じた。

SIPサーバや網設計を冗長化しているとはいえ、想定以上の高負荷がかかった場合や、
先般のひかり電話網のフラッディング問題を見ると、まだまだ信頼性に欠ける部分も残る。

しかし、固定電話の利用者減少を背景に、総務省も2009年をメドに(固定電話の)
ユニバーサルサービス制度を廃止する方向で検討しているようなので、近い将来、
IP-PBXの導入なども視野に入れないといけないだろう。

また仕事増えそう・・・。

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