ネットワーク管理者の憂鬱な日常

とある組織でネットワーク管理に携わる管理者の憂鬱な日常を書いてみたりするブログ

IT公共事業の行く末は・・・

e-Japan戦略に基づき、各種電子申請システムの構築・運用が実現されてきたが、
今後の運用継続が再考されつつあるようだ。

パスポートの電子申請では、結果的にパスポート1冊あたり1,600万円、
住民票の自動交付に、1枚あたり1万円の経費がかかっている、という。

▽ パスポート:電子申請停止へ 07年度から 外務省方針 - 毎日新聞
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20060823k0000m040141000c.html

▽ 住民票1通に経費1万円 高知市の自動交付サービス - 高知新聞
http://www.kochinews.co.jp/0608/060817evening01.htm

いずれの場合も、住民基本台帳カードや「よさこいタウンカード」などのICカードが
認証基盤であり、これらICカード使用が前提条件となっていた。
しかし、残念ながら、これらのICカードが広く普及しているとは言い難い。
# 高知市の場合は、中央官庁の施策変更に振り回された感もあるが・・・

各種電子申請システムの構築は、e-Japan戦略に基づく一つの方針ではあるが、
景気浮揚を目的とした公共投資の一面があったことも否めないだろう。
どうすればみんなが便利になるか、といった観点ではなく、電子申請ありき、
それも、住基カードありきで話が始まった一面があるのだろう。

一方、(規格は異なるが)同じICカードであるFelicaは広く普及している。
徳島ではあまり縁がないが、都市部では、JR各社が推進するSuica、ICOCAや
関西私鉄各社が導入するPiTaPa、四国でも琴電のIruCa、伊予鉄の"ICい〜カード"などがある。

普及の決め手は、ICカード規格の差異や利用難易度の差異もあるだろうが、
基本的に使用頻度の差と、そのシステムを利用することによるメリットを如何に
出せるかによる。当たり前だけど。

都市部における公共交通機関の利用はほぼ毎日である。また、改札通過時の便利さもある。
一方、引っ越しが趣味の人を除けば、通常住民票が必要になる場面は多くない。
パスポート申請に至っては、最低5年は申請することはない。
これでは、ICカード自体の所在が分からなくなることもあるだろうし、
システム操作方法を忘れてしまっている可能性が極めて高い。

ICカードによる認証システム云々だけではなく、一般利用者対象のシステム化って、
日常的に利用する事象を対象としてシステム化を検討した方が、利用者にとっても
幸せだと思う。人間、毎日実行することはイヤでも覚えるものだし。

システムを構築するとき、開発が決定される様々な背景から、残念ながら導入効果が
薄いと感じつつも開発に着手しなければならないときがある。

▽ インサイダー覆面座談会「電子政府“無責任”の連鎖を断て!」―前編 - ITMedia
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0608/18/news002.html
▽ インサイダー覆面座談会「電子政府“無責任”の連鎖を断て!」―後編 - ITMedia
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0608/22/news001.html

もちろん、一エンジニアではどうしようもない問題なんだけど、どうせ作るなら
使い勝手が良くて、コストパフォーマンスもいいモノが作れるかがエンジニアの
腕の見せ所だと思う。もちろん、使用時の利用者負担が軽いのは大前提。
少なくともそういう精神だけは持っておきたい。

でも、「言うは易く行うは難し」なんだけどね・・・(泣)。

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